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研究紹介

「身体をうまくコントロールするにはどうしたらいいのか?」という素朴な疑問が原点となっています。

特に、「そもそもどうやって筋を制御しているのか?」という基礎的な部分と、「どういう介入をしたら動作を改善できるか?」という応用的な部分に興味をもって研究を進めています。

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研究①:筋シナジーの分析

​ 神経科学や理学療法分野においては、「筋シナジー」の分析により筋協調を定量的に分析する研究が近年では注目されています。筋シナジーを分析することにより、複数筋間での同期的な筋活動パターンを定量的に示すことが可能です。例えば、図のように、歩行中に身体を支える、推進力を生成する、といったサブタスクの達成に必要となる、複数筋間での同期的な筋活動パターンを定量することができます。本研究室では、動作中の筋シナジーの特性に関する研究を積極的に進めています。

​・歩行速度の調整に関与する筋シナジーの特性(Kibushi et al., Front Hum Neurosci, 2018)

・歩行速度に依存した筋シナジーの活動パターンにおける安定性の特徴(Kibushi et al., Front Hum Neurosci, 2018)

・腕からの求心性情報の弱化が歩行-走行間のgait transitionおける筋シナジーに与える影響(Kibushi et al., Neuroscience letters, 2021)

・クリーンの未経験者と経験者における筋シナジーの違い(Kibushi et al., ISBS2020, 2020)

​・歩行中の腓腹筋の活動を調整するときの筋シナジー(Kibushi, Hum Mov Sci, 2023)

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研究②:筋電図バイオフィードバック

​ 筋電図バイオフィードバックは、筋活動パターンを変化させ、運動中の生体力学的出力を改善します。例えば、膝関節手術後のリハビリテーションに筋電図バイオフィードバックを適用すると、膝関節可動域や膝伸筋の活性化レベルが改善されることが知られています。このように歩行への有用性はいくつか認められていますが、筋電図バイオフィードバックの動的動作の改善への応用については、検討の余地が多く残されています。本研究室では、筋電図バイオフィードバックの効果に関する研究も進めております。

​・ペダリング中の筋共収縮改善のための筋電図バイオフィードバック(Kibushi and Okada, Physiol Reports, 2022)

・歩行中の身体重心加速度の低減における筋電図バイオフィードバックの効果(査読中)

​・小趾外転筋の活性化への応用(進行中)

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研究③:スポーツ科学研究

​ 本研究室では、動作分析システムと表面筋電図システムを併用し、スポーツ動作中の筋制御に関する研究を進めています。産学連携として、筋制御の観点からの製品の評価も行っております。

・クリーンの未経験者と経験者における筋シナジーの違い(Kibushi et al., ISBS2020, 2020)

​・疲労後の着地パフォーマンス低下に対する製品の効果(進行中)

​・バドミントンにおけるフォア・ストレートリフトショットの精度とバイオメカニクス的分析(進行中)

・フィギュアスケートのジャンプにおけるバイオメカニクス的分析(進行中)

​・Velocity based trainingの効果(進行中)

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研究④:運動学シナジーの分析​

 運動学シナジーは関節角度データに行列分解を施すことにより抽出され、筋シナジーと同様、各関節への重みづけを示す空間パターンと、その時間パターンとして抽出されます。例えば、歩行中にみられる、とある運動学シナジーの空間パターンと活動パターンから歩行動作を再構成すると、図のような前脚と後脚の入れ替え動作が再現されます。本研究室では、運動学シナジーの分析も進めております。

・様々な歩行パターンで歩行している際の運動学シナジーの特性(Kibushi et al., Exp Brain Res, 2019)。
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研究⑤:筋共収縮の分析​

 主働筋と拮抗筋の共活動である筋共収縮は、エネルギー効率や動作パフォーマンスを妨げる要因となる場合があります。筋共収縮は動作の初心者によくみられる現象で、運動学習の進行にともない減少していきます。筋共収縮を改善するための効果的な方法を考案することは、運動学習を促進させるうえで有益な知見となります。筋共収縮は、図のように主働筋と拮抗筋の重なり度合いを定量することで比較することができます。本研究室では、動作中の筋共収縮に関する研究も進めています。


・ペダリング中の筋共収縮改善のための筋電図バイオフィードバック(Kibushi and Okada, Physiol Reports, 2022)
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